思い出とパンの味。

店主は、いつも中でパンを焼いているのであろう…
たった一人で店番しているのは、もうお孫さんの数も多いだろうと思える年齢の女性。

今では24時間営業のコンビニに押されて、近隣のセブンイレブンに客足を吸い取られているように見える「ぱんのくに」というパン屋さんがあります。
父のお墓近くにある店で早朝6時から営業している。もう昔っから…。
当時はここしか空いてる店がなくて、お墓を綺麗にした後に好きなパンを買ってもらい食べながら帰っていました。
子ども達も小さいころから「どれでも好きなパン選び」と、墓参りの後に買ってもらっていたので『墓参り＝ぱんのくに』はセット。
今朝も、やっぱり墓参りをした帰りにパンを買いました。
店に立っているおばちゃんは、いつも変わらぬ笑顔で迎えてくれました。
子ども達も、いつも変わらぬ様子でパンを選びました。

いつだったかな…
息子が「お母さん、○○先生にパンを一つ買っていっていい？おじいちゃんのお墓参りする時に寄ってるパン屋があるんですって先生に言ったら【どんな味が知りたいな】って言ってたから」って。
「あんた、どんなパン屋さんって話したの？」って聞くと、息子は「めっちゃ美味しいんですって言ったで」と言いました。
・・・そんな美味しいパン屋さんではないのに。
こんなことを心の中で思った私。今はその思いを訂正するけど、あの時はそう思った。
凝ったパンを作る店じゃない。だって、おじいちゃんが1人で焼いてる昔ながらのパン屋さんだし…　(・。・;
京阪神でも芦屋はパンのレベルが高い地域で、そこに住むパン好きの私は「芦屋＝美味しいパンの街」という図式を勝手に作っていました。実際にそうなんだけど…。

今は息子の気持がとても解る。
めっちゃ美味しいとは思わないけど、でも私や子どもたちにとっては、きっと好きな味なんだと思うの。
理由は、そこに沢山の思い出が詰まっているから。
娘や息子が幼いころ、亡き父はドライブがてらお墓参りに連れて行ってくれました。
皆でお墓を綺麗にした後に「よく頑張ったな」って褒めてもらいながら食べたパンの味。
その父の骨を納骨した後に、悲しい気持のまま食べたパンの味。
その時々の精神状態でパンの味は違ったと思う。でも変わらないのは、思い出がいつもそこにあるってこと。

あの時、あのパンを美味しいって自慢している息子を恥ずかしいと思ったけど、今はそうやって自慢できる息子が私の「自慢」です。
そして「お墓参りすると気持がすっきりする」と、ぼそっと呟いた娘も誇らしい。

～手作りが飽きないのは、作ってくれた人の体温を感じるからだとか～
「ぱんのくに」のパンも、積み重なっていく思い出と人肌のぬくもりを感じる今日この頃です。

＊明日pureYOGAあります。10時～11時20分　タオルリセット＆ヨガ
　お時間ある方、是非いらしてね～(^O^)／